ストリップという世界~浅草ロック座を訪ねて~
今年のGW中はずっと部屋にいても気分が鬱積してしまうので、
彼女を誘って浅草にラーメンを食べに行った。
何故、浅草にラーメンかというと、つい最近Twitterで
見つけた「980円で30分食べ放題」という少し変わった
システムで営業をしている「拉麺ビュッフェBUTA」というお店に
に興味があったからだ。
ラーメン自体は豚骨ベースの博多、もしくは久留米ラーメン
の様な味で美味しかったし、具材食べ放題というシステムも結構面白かった。
ただ、もう一度ラーメンを食べる為だけに浅草まで
行くかと問われると、
「まあ、誰かが行きたいって言うなら案内はするけど、自分1人でのリピートは・・・」
というのが正直な感想。
別に、美味しかったし面白いんだけど、そう頻繁にリピートしたいと
思うほど安くも無いし、何よりラーメン食べる為だけに浅草まで毎回行くのは
横浜在住の身としてはちょっときつい。
それに、最近このお店は王様のブランチ等でも取り上げられているので
暫くはお客さんも増えて入りにくくなると思う。
テレビでの紹介よりも先に体験できたので、話題を先取りできたのは良かった。
さて、タイトルの話に戻るのだけど、
この「拉麺ビュッフェBUTA」をスマホの地図アプリで探しているときに
近くに浅草ロック座がある事を見つけたので、
なんとなく、「行ってみない?」と誘ってみたところ、
若干の警戒感を出しつつも同意を得たので行く事にした。
あと、せっかくのGWなので、ラーメン食べて終わりではなくて、
何か思い出に残るところにでも行ってみようという趣旨もあった。
一般的にストリップ劇場と聞くと、ちょっと女性1人で歩くには憚られる様な
薄暗い路地、もしくは怪しいお店が連なる風俗街にあるイメージだが、
浅草ロック座はその名の通り、浅草六区の商店街に普通に立っており
その外観からはアングラな雰囲気は一切感じられない。
料金システムは一般5,000円、女性3,500円など。
女性同伴で行くと男性は4,000円に値引きされるカップル割というのも
あったので、今回はそれを利用した。
ショータイムは1回あたり1時間40分で1日5公演行われるのだが、
入れ替え制では無い為、その気になれば昼の13時公演からラスト
の22時40分までずっと見る事も出来る。
昔の映画館と同じシステムだ。
劇場内には喫茶店も併設されており、軽食も提供しているので
常連さんになると、良席に場所取り用の荷物だけ置いて
ほぼ一日中いるという事もあるのだと思う。
先にラーメンを食べてから行ったので、時間的に
ちょうど2公演目の少し前に入ったのだけど、
約140席ある座席は8割以上が埋まり、
終わり際には立ち見も出ていたのでかなり繁盛していたと思う。
客層は、男性が多数を占めるけど、若い女性もそこそこいるし、
カップルで来ている人達も珍しくはなかった。
最近、ananなどの女性誌で取り上げられた事もあり、
女性のお客さんも増えているのかもしれない。
ショーの構成としては、
まず7人+αの踊り子さんが出てきてオープニングが始まり、
それぞれの踊り子さんが主役をやるパート(景)が3回行われ、
中休憩を挟み、残りの4景が行われた後、再び全員出てきてフィナーレとなる。
人数に+αと書いたのは、景によってはバックダンサーも入り、
そのバックダンサーは他の景の踊り子さんが兼任する事もあるが
バックダンサー専門の人も数人いるため。
ちなみに、7人が出る順番と演目は、
入場時に配られる香盤(進行表)を見れば分かる仕組みだ。
それぞれの景では、まず本舞台と呼ばれるステージで
演目の内容を舞い、(この時点ではそれぞれの演目に合った衣装)
途中で「ベット着」と呼ばれるセクシーな衣装に着替え
ステージ中央の花道を通って盆と呼ばれる回転台に移動、
そこでベット演技と呼ばれる脱ぎながらの演技を行うという構成。
もちろん、初めから裸で来る場合もあるし、
舞台上にポールや小道具などが準備され、それらを使用して
舞うこともある為、必ずしもこの流れを追うわけでは無い様だ。
それぞれの踊り子さんたちは自分の担当する景にあった演目を舞った後に
ベット演技では演目の内容を踏襲したベット演技をする。
ただ、これも一例に過ぎず、ベット演技では演目とは
ガラリと内容を変えて、得意とする技を積極的に披露する姫も
いたりするので、7人いれば7通りの全く違ったショーを見る事ができ
観客を全く飽きさせない。
後から知ったのだが、この様に踊り子さん全員で同じ演目を行う様な
ショーを前面に押し出しているのは全国でも浅草ロック座くらいの様で、
他のロック座系列の劇場はもちろん、基本的に普通のストリップ劇場では
踊り子さん1人ずつ全く別の演目を行っていたり、
盆でのベット演技が長くとってあり、より男性向けの趣向となったりするらしい。
あと、通常のダンスショーとは別にポラロイドショーと言って
500円~1,000円くらいで、踊り子さんのポラ(局部のアップなど)
を撮れるような時間を設けている場合もあったりするようなので、
女性が行く場合は事前に調べた方が良い。
(まあ、浅草ロック座も女性が脱ぐのでそういうのに過敏に反応する女性の同伴は全くお勧めしないし、この記事を見て興味を持ち、女性同伴で行ってトラブルになっても、冷笑はするが責任は取れないので悪しからず。)
それで、実際にストリップショーを見た感想はというと、
実は色んな感情が入り混じってしまいとても一言では言い表せない。
ある踊り子さんはただただ可愛く、別の踊り子さんは妖艶、
また別の踊り子さんは布を巧みに使ってまるでシルクドソレイユの様に
エアリアルシルクを華麗にきめて魅せる等、
そこにはストリップ=エロという杓子定規には収まらない魅力が詰まっていた。
ただ、どの踊り子さんにも共通して言えるのは
どんなに妖艶であっても可愛くても、
そこには「卑猥さ、いやらしさ」は感じられず
一糸纏わぬ姿であられもないポーズをきめているにも関わらず
まるで芸術作品を見ているような感動すらあるという事だ。
浅草ロック座というストリップ界での最大手で踊る踊り子さんという事もあって
それぞれの踊り子さんの裸は、単なる裸では無く「魅せる為の身体」を
日々の練習やケアで作り上げている事が素人目にも分かる。
ステージ際の席に座ると踊り子さん達との距離も手を伸ばせば届くほど近いので
横を通り過ぎるととても良い香りがするし、目が合うのも1回や2回ではない。
普段会う機会も無いくらい綺麗な女性が、
劇場の外では決して有り得ない様なあられもない姿で、
こちらを見て微笑みながら踊っている状況が想像できるだろうか?
マクドナルドでさえスマイル0円を大々的に表示しなくなり、
コンビニやファミレスではPOSレジが高機能化しすぎて店員は客の顔を
見る余裕などなく、小売店で何か物を買っても
笑顔を返される事がめっきり減ってしまった昨今、
あれほどの笑顔を目を合わせて魅せてくれる、
それだけで普通ならばその日は満足してしまう所を
その女性はとても綺麗で、踊っていて、しかも裸なのである。
もうこれはどうしたらいいんだろうか?
Yahoo知恵袋に質問したいくらいだ。
公演中、ふと周りを見渡すと、ステージ際などの良席を取っている
常連さんと思われる人達は、子供の様に目を輝かせてステージ上を見つめ、
ポーズが決まる度に拍手をしたり、音楽に合わせて手拍子をしたりして
ステージ上の踊り子さん達との「対話」を楽しんでいた。
観客は曜日や時間帯にも因ると思うけど、8割~9割が男性で
その中でも常連と思われる人達は40代~50代が多数を占めている感じだ。
その40代~50代の方達が普段の通勤電車の中では絶対に見せない様な
優しい目線で踊り子さんに拍手をしているのだ。
浅草ロック座に行く前は、小汚いオッサンがカップ酒片手に席に座ってて
ステージ上に卑猥なコールを掛けてるんだろうなーと、すごい場末なイメージを
持っていたんだけど、決してそんな事は無く、劇場と踊り子さん、
そして常連さんとの間には良い関係が気づけているんだろうなという事を
想像させるに十分な空気がそこには流れているように感じた。
あまりキョロキョロ周りを見るのはお勧めしないが、
公演中に常連さんが行う拍手や、舞台袖から投げられるテープ投げ等の応援、
そして、花束等の差し入れなどのやり取りを見るのもかなりかなり面白い。
どれだけ長く書いてもこればっかりは実際に見に行ってもらわないと
魅力をお伝えするのが難しいが、もし観光や何かのきっかけで浅草に行く機会が
あったら、是非とも浅草ロック座を体験して欲しい。
ストリップと聞くと、なんとなくアングラなイメージが付きまとうが、
女性一人で見に来る人もいるくらいなので、
浅草ロック座については安全に鑑賞できると思う。
2020年の東京オリンピックを目前に控え、首都圏周辺は
風俗産業への取り締まりが強化されていると報道で良く見る。
女性の裸を扱う以上、浅草ロック座もその対象にならないとは言い切れないので
後悔する前に、一歩踏み出してみてはどうだろうか。
さて、長々とストリップを「見た」感想を書いてきたけど、
文中に「目が合うのも1回や2回ではない」と書いた様に、
見ているのは我々観客だけではなく、
当然踊り子さん達もステージの上から客席が見えているはずである。
別に、「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている」になぞらえて
学が無いのに背伸びをしてニーチェの哲学を語ろうとしているのではなく、
単純に観客は見ているのと同時に踊り子さんにも見られているという話。
「対話」とは書いたけど、それが上手く行かなかった場合、どんな事になるのか。
次回は、そんなお話。
初めまして。
毎年恒例の4月1日ということで、今年はブログを開設してみた。
大して長くもない今までの人生の中でも、柄にもなく良い大人を演じようとしたせいで140文字以上の文字が書けなくなった過去を振り返ってみて
「あれは必要だったのか?」
「あんなに一生懸命頑張ったり、誰かを気遣ったりしたけど、それは本当に意味のある行いだったのか?」と思い返す事が多々ある。
だから、誰にも気遣わずに分かり易さを考慮せずに書きたい事を書きたい時に書きたいだけ書く。そんな場所にする予定。